[A-008]SITE_Ki

  • 2018-2019
  • Japan
    Hiroshima
    Tokyo

「攻殻機動隊」で描かれているような、人の知覚を拡張する技術を研究・開発している東京大学の稲見・檜山研究室と、街なかでよく見る鮮やかなグリーンの重機を製造販売しているコベルコ建機株式会社。

両者が「VRを用いた建機のリモートコントロール」を共同研究するということで、その為の空間を駒場の東京大学先端技術センター内に計画した。

駒場から800km離れた広島県呉市にある、自動車解体工場内の解体機ニブラをVRで遠隔操縦するための空間。部屋の一角をVRスペースにするのではなく、いっそのこと部屋全体を重機のコックピットにできないかと考えた。

VRのための空間。極端なことを言えばミニマルなホワイトキューブでも事足りてしまう空間に対して、バーチャルとリアルをつなぐインターフェイスとして、実空間が補助できることは何だろう。

空間に漂う気配はまだ簡単に遠隔に伝えることができないけれど、できる限り東京/広島間で気持ちがシンクロしやすいように、実際の解体機からシートを外し、革を張り替えて設置した。台座はコベルコ製品の代名詞となっている、オリジナルのグリーン塗料で仕上げている。

あまり大きくない部屋の中に、VR室、会議室、作業場、ショールームなどの機能を詰め込む必要があったので、壁を立てるのではなく、大きな柱状の家具を配置して性格の異なるコーナーを複数設けている。

柱状家具には、国産のホオノキを細かく砕いて圧縮した特別な材を使っている。木くずの圧縮材がゴロゴロと立っている様子を、鉄くずのプレスされたブロックが積まれている解体現場のイメージと重ねた。

壁沿いの棚はできるだけ空間の背景となるように、天井から吊るされていたものと同じ電設ラックを使って制作した。

オンライン・ミーティングやエレクトロニック・コマースなど、バーチャル空間でのコミュニケーションが特別なことではなくなっている時代で、実空間の身体性やマテリアリティの価値が改めて問われている。

主要用途:研究室
設計・監理:DOMINO ARCHITECTS
施工:中秀工務店
什器制作:eckits 
写真:Gottingham

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