[A-003]SHIBUYA QWS

  • 2016-2019
  • Tokyo
    Shibuya

渋谷駅直結、渋谷スクランブルスクエア15階。世界一有名な交差点を見下ろす敷地に、次世代の公民館みたいな施設を立てる計画。

柱やブレース、ダンパー、エレベーターコア、ダクト。ワンフロアを丸々使った約2600m2の広大な空間は、動かせない構造や設備によって、計画前から「機能とは関係なく」緩やかに仕切られていた。

そこで、使い方に合わせて部屋をゼロベースで作っていくのではなくて、与えられた不均質な空間に合わせて、最適な使い方を当てはめていけないかと考えた。広場っぽい場所は人が待ち合わせをしたりお茶して過ごせる空間に。ニッチっぽい場所は込み入った話ができる空間に。路地裏っぽい場所は息抜きができる空間に、といった具合に。

施設を使い倒してもらうために、街なかのガードレールや車止めみたいな、自然に腰掛けてしまうようなでっぱりや引っ込み、小上がりといった「ちょうどいい地形」をあちこちに散りばめた。丸テーブルは画鋲みたいに床に刺して固定しているので、もたれかかれるようになっているし、鉄骨ブレースにはフカフカな素材を巻いているので、やっぱりもたれかかれるようになっている。ちょうどいい大きさの動かないものって、なんだか安心感があって愛着が沸かないだろうか。

壁はほとんどが簡単に動かせる。スライディングウォール、防火シャッター、暖簾、カーテン、プロジェクタースクリーン。開閉の組み合わせ方で、エリアをパズルのように繋ぎ変えて様々なシーンに対応できるようにした。動かせない壁には、金具を引っ掛けられるようにしたり、磁石がくっつくようにしたり、ペンで描けるような機能をつけた。使いながら自分で空間をハックしていけるような仕組みをさり気なく導入している。

素材は特に珍しいものではなく、どこでも見かけるような、定番の汎用品をメインで使っている。岩綿吸音板やタイルカーペット、システム天井やOAフロア、ビニルクロスやグラスウールマット。どれもオフィスに標準で使用されているのにデザイン面で敬遠されがちな素材だけれど、色や取り合いを精査したり、組み合わせ方を研究することで、古い/新しいという軸を超えて、素材や家具を再発見、再評価、再定義したいと考えた。

長年使われても飽きないような、新しいワークスペースのスタンダードとなるような空気感。その提案を試みている。

SHIBUYA QWS

Conversations with KNS Creative Director David Glaettli

主要用途:共創空間
事業主体:東急株式会社, 東日本旅客鉄道株式会社, 東京地下鉄株式会社
運営会社:渋谷スクランブルスクエア株式会社
プロデュース:株式会社ロフトワーク
設計:DOMINO ARCHITECTS + 山本基揮建築設計
サインデザイン:岡本健デザイン事務所
写真:Gottingham, 三嶋一路

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