[A-030]雑談『広告』

  • 2023
  • Tokyo
    Akasaka

2019年のリニューアル創刊以来、「価値」「著作」「流通」「虚実」「文化」と5つの特集号を刊行してきた博報堂の雑誌『広告』の、制作の裏側を展示する展覧会の会場構成。

物理的な資料とともに、数々の記事や装丁、販売方法の企画を生み出してきた編集長との「雑談」が会期中ノンストップのトークショーとして展示された。

会場は、普段は関係者しか入れない博報堂の会議室。システム天井にタイルカーペット。ホワイトボードにOA家具や備品類。原則として工事ができないという制約のなか、標準的なオフィス空間が持っているどこか懐かしい空気感を活かし、展示空間として成立させる事を考えた。什器のほとんどは会議室の備品でまかなっている。

いちばん重要な「雑談」をどう展示するか。レクチャーやプレゼンとは違って、雑談は来場者を気にして話すものではないし、来場者にとっても集中して聞くようなものでもない。そこで、スピーカーと来場者とがお互いに気配だけを感じられる程度の、ゆるい境界をつくることを考えた。

これまで編集長がA4コピー用紙に書き留めていた大量のメモを天井から吊るして、部屋の中央に雑談のためのブースをつくった。ブースの外にいると、空調の風でゆらゆらとゆれるA4メモの隙間から、雑談の様子がちらりと見える。コピー用紙の裏には黒ベタを印刷して、ブースの内側は黒いソリッドな空間とした。

雑談はスピーカーによって会場全体にラジオみたいに流れている。椅子に座ってちゃんと聞いてもいいし、聞かなくてもいい。

だって、雑談なのだから。

雑談『広告』

企画・主催:『広告』編集部
会場構成:DOMINO ARCHITECTS
グラフィックデザイン:上西 祐理加瀬 透牧 寿次郎
ウェブデザイン・実装:奥田 透也
写真:平松 市聖
設営:RID.LAB(伊藤 来貴)
運営:N-One(石田 真悟)
協力:山本 侑樹、吉田 圭一

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