[A-040]あとち

  • 2025
  • Tokyo
    Mita

日本建築学会が主催する建築展覧会2025「あとち」の会場構成。

とはいえ作品のほとんどがインスタレーションだったので、配置計画も什器設計もしていない。ただ一か所、展示室の一角に門型の仮設壁を立てて、「跡地」に関する資料や論文、参考文献などを閲覧できる小さな部屋をつくった。

青みがかったグレーの薄いカーペット、煌々と明るい蛍光灯、細かい傷や汚れが目立つスチールのキャビネット、複合機、重々しい革張りの椅子。資料室の要素を空間の中に少しずつ慎重に配置していって、最後に門型の仮設壁の小口に細い鏡を静かに取り付けた。

こうして出現したニセモノの資料室は、まるでずっと前からそこにいたような顔をして日常に擬態する。誰のだかわからない記憶の余韻や気配が漂う。時間軸がズレて重なってしまったみたいな、あるいはジョジョ第六部の世界が一巡した後の世界みたいな、知ってそうで知らない、でも少し知っている部屋。

設営後、竣工当時の資料を見る機会があった。図面によるとこの場所は展示室になる前は奇しくも「図書頒布コーナー」と呼ばれていたらしい。閲覧室を捏造していたつもりが、当時の図書頒布コーナーを復元していたのかもしれない。

ニセモノの時間軸と現実の時間軸とが混線して、話がややこしくなってしまった。

主催:日本建築学会
期間:2025年10月2日~19日 
会場:建築博物館ギャラリー内+中庭(東京都港区芝5-26-20)ほか
出展者:大野友資、篠田優、山崎嵩拓、森山泰地、出原日向子、森藤文華+葛沁芸、綱島卓也
キュレーター:川勝真一、桂川大
会場構成:DOMINO ARCHITECTS
グラフィックデザイン:綱島卓也
施工:國重裕太、樋口侑美
映像:岡元将志
写真:篠田優
特別協賛:建築センターCoAK

建築展覧会2025「あとち」記録映像
映像制作:岡元将志
楽曲提供:平間翔太