[A-011]MEGURO MARC GARDEN

  • 2019-2023
  • Tokyo
    Meguro

マンハッタンの摩天楼の隙間に、ペイリーパークという猫の額ほどの小さな公園がある。中央には背の高いニセアカシアの木が等間隔に並んでいて、木陰には等間隔に並んだテーブルセットで人々がくつろいでいる。通りの喧騒から切り離された、都会のオアシスみたいな場所だ。

目黒の複合施設MEGURO MARCの敷地内、タワーマンションとオフィスビルに取り囲まれて三角形に残された場所に、ポケットパークを設計した。プロジェクトが始まる前、渡された配置計画を見て、ニューヨークで街歩きに疲れていた時に吸い込まれるように入ったペイリーパークのことをぼんやりと思い出していた。

木々がグリッドに植えられた公園が好きだ。一本ずつ、ゆとりをもって立っていて、それぞれの木の個性が見えてくる。ペイリーパークのニセアカシア、リュクサンブールのマロニエ、外苑のイチョウ、新宿御苑のプラタナス。MEGURO MARCではカツラを選んだ。夏は葉が生い茂って木陰をつくり、冬には落葉して暖かい陽の光が当たる。落ち葉からはキャラメルか綿菓子みたいな甘い匂いが立ちのぼる。

三角形の敷地に沿うように三角形のグリッドを引いて、等間隔にカツラを植えた。

その周りに、幅の広いドーナツ状の家具を巻いた。家具の高さは23cm/38cm/72cm/90cmの四段階で、グリッドに沿って列ごとに段々と高さが変わっていく。ベンチ/テーブル/オットマン/ピクニックシート/ベッド/舞台/踏み台/遊具。同じ形のように見えて、高さに応じて色々な使い方ができる。使えば使うほど場所のポテンシャルを感じる、奥行きのある公園に惹かれる。

押し付けがましくなくて、味気なくもない公園のあり方について。ずっと考えているし、引き続き考えていきたい。

主要用途:公園
設計・監理:DOMINO ARCHITECTS
サイン計画:田部井美奈
プロジェクトデザイン:Tone & Matter
施工:竹中工務店
製作:越井木材
写真:Gottingham
映像:冨田了平

#landscape, #furniture, #park, #playful, #playset, #geometry

Choreography : ima theater
photo courtesy of MEGURO MARC